
一度は惹かれあって結婚したはずなのに…。
「考え方の相違」「浮気」「借金」などのトラブルにより夫婦間の関係が悪化し、結婚生活が破綻している状態であるにも関わらず「同じ屋根の下に住んでいる」だけで食事や寝室なども別々の状態である家庭内別居。
そんな女性の頭に浮かんでくるのは「離婚」の2文字ではないでしょうか?
「はやく離婚して楽になりたい」「今の干渉し合わない生活は楽だけど、ずっとこのままでいいの?」「離婚したい。でも子供の事はどうしよう」「旦那が別れる事に同意してくれない」「慰謝料とかって発生するの?」
など疑問は沢山。
そこで今回は苦しい家庭内別居から脱出し、離婚を成立させるために必要な事を手順を追ってお伝えして行きます。
目次
家庭内別居から離婚を考える前に自分の本心を確かめよう!
あなたは本当に夫と別れ、違う人生を歩みたいと思っていますか?
夫と離婚すると言う事は「収入が減る」「家事や育児を1人でこなさなくてはいけない」「子どもに寂しい思いをさせる」などのデメリットが考えられます。
数ある原因の中でも、特に大きい割合を占めるのが「経済事情」ではないでしょうか?
- ずっと専業主婦だったため、今さら安定した職に就けるか不安
- 自分1人で子どもの教育費や生活費を支払うのは無理
- 老後の経済面が心配
上記のような理由からなかなか離婚に踏み切れず、家を出られない女性が多く見られます。
ただ、「旦那に愛情がなくなった!」それだけの理由で離婚に踏み切ってしまうのは考えもの。たとえ子どもがいない場合でも、結婚と言うのは「両家が親族になる」と言う大きな変化です。
「1人の稼ぎでやれるか?」「親権はどうするのか?」「財産分与は?」などについて、覚悟が決まるまでしっかり考えましょう。
自分の考えがまとまらないまま夫と話し合っても、離婚に合意してもらえない・親権を譲ってもらえないなどのトラブルにつながりやすくなりますよ。
旦那と話し合おう!
いざ!離婚の覚悟が決まれば、夫に気持ちを伝え離婚に向けて話し合いをしましょう。
家庭内別居中はお互いに口数が少ないと思いますが、メールなどではなくしっかり2人の時間を設けて下さい。
その際は、「離婚したい!」という固い意志を持って話し合いに臨みましょう。
実際、「離婚なんて絶対にしないぞ!」と言っていた旦那さまが、奥さんの固い意志を目の当たりにして離婚に合意する…と言ったパターンがほとんどなんですよ!
話し合いはとても大事ですが、DVなどの被害にあっている場合はまず相談室に相談をしてみられる事をおすすめ致します。
NPO法人が運営している「女性のためのDV相談室」などがあり電話で相談に乗ってくれますので、離婚に向けてどのように行動して行けば良いのかを聞いてみるのも一つの手ですよ。
旦那が離婚に同意してくれない時は?
ここでは旦那さんが離婚に同意してくれない場合の対処方や、離婚に向かってのプロセスをご紹介致します。
とにかく説得する!協議離婚でのポイント
協議離婚とは「夫婦間で話し合いをし、お互いに離婚に合意する」事で成立する離婚になり、離婚する夫婦の約9割がこの協議離婚によって離婚しています。
「もう話したくもない!」と言う気持ちがあっても、ここはぐっと我慢をして話し合いましょう。そうでなければ、いつまでたっても現状が変わる事はありません。
協議離婚において重要な事は「お互いの主張をまとめ、いかに双方が納得できる様な方向性を見いだせるか」です。
養育費・親権・財産分与・慰謝料などの決定事項については、後々のトラブルを避けるために「離婚協議書」を必ず作成する様にしましょう。
また、離婚協議書を法律の専門家に作成してもらう「公正証書」にすれば離婚前に決められた慰謝料や養育費の支払いが滞った場合でも、「相手の給与や財産を差し押さえる」効力があります。
公正証書にするためには夫婦そろって公証場に出向く必要があったり、作成に数万円の費用がかかったりもしますが、裁判と同様の執行力があるのでもし相手が支払の約束を破った場合でも裁判をする手間をかけずに金銭を回収可能になるメリットがあります!
家庭裁判所に離婚申請を申し立てる!離婚調停
離婚調停は正式には「夫婦関係調整調停」と言い、夫婦のどちらか一方が離婚に合意しない場合に裁判所に間に入ってもらい、離婚するかどうかや慰謝料・親権・養育費などの詳細事項の決定も合わせて話し合います。
調停での決定事項はすべて「調停調書」に記録され、残ります。
ですので、相手が決定事項を守らなかった場合には裁判所から施行命令が下されます。
公正証書では裁判所からの直接命令は出ませんので、「金銭・親権問題」「財産分与問題」でもめている夫婦には調停離婚はとても心強い制度になります。
離婚申請を申し立てる場所は各都道府県の「家庭裁判所」で行い、申し立て申請などにかかる調停費用の総額は、弁護士に依頼せずに自分で手続きを行う場合5000円程度である事がほとんどです。
裁判官による離婚訴訟
夫婦間での話し合いでも和解できずに離婚調停でも不成立だった場合、次のステップは「裁判離婚」になります。
裁判官は証拠に基づき判決を下されますので、婚姻が継続しがたい「証拠」をしっかりと提示できるかどうかはとても重要になってきますよ!
裁判離婚は必ず弁護士に依頼しないとできない訳ではありませんが、法律の知識がない方は弁護士に依頼する方が安心ですね。
弁護士に依頼する場合の費用は30万円~60万円前後が相場になっています。
以上、夫が離婚に同意してない場合の対処法をお伝え致しました。簡単にまとめると、
- 夫婦間で話し合ってもなかなか離婚が決まらない
- 調停で調停員に間に入ってもらい話し合いを進める
- それでも決まらなければ裁判官に強制的に判断してもらう
となり、離婚する夫婦のうち約8割強が協議離婚にて・2割弱が調停と裁判での離婚成立をされています。
子どもの親権・養育費はどうする?
子どもがいる夫婦にとって、「離婚後の子どもの生活」はとても大きな問題ですよね。
未成年の子どもがいる場合には親権者を決めなければ離婚はできませんので、離婚の意志がお互いに確認できたら親権者を早急に決めましょう。
お互い親権を譲らない場合は?
夫・妻の両方が子どもの親権を取りたがり、話し合いでは決着が付かない場合は家庭裁判所へ「親権者の指定を求める調停」を申し立て、その中で親権者をどちらにするのか話し合う必要があります。
調停でも親権者の決定に至らなかった場合は「裁判審判」に移ります。裁判審判では、夫か妻のどちらを親権者にした方が「子どもがより良く養育を受けられるか?」と言った、子どもの利益を中心に考えられます。
裁判で親権を獲得するために大切な事とは?
では、裁判官はどのようなポイントを見て親権者を指定するのでしょうか?もし裁判で親権を争う事になった場合、以下の項目に該当が多ければ多いほど有利になりますので参考にしてみて下さい。
- 子どもに対する愛情が大きい
- 収入が高く、安定している
- 祖父母など、代わりに面倒を見てくれる人が近くにいる
- 親の年齢や健康状態、保護監督能力が高い
- 子どもの意志
などの事情を考慮し、総合的に判断されていきます。子どもが幼ければ幼いほど母親が親権者として相応しいとされていますが、母親の経済事情などの養育能力にもよりますので一概に母親が有利と言う訳でもありません。
また、子どもの年齢が15才以上の場合は裁判所で本人の意思の確認がされます。そのため、子どもが15才以上である場合は本人の意思が親権者指定のための重要なポイントになってきます。
不貞行為をしても親権を取れる?
不貞行為を行った事は、離婚の成否や慰謝料の請求においてはとても重要になってきますが「親権決定」の場面においてはさほど重要視されない傾向にあります。
「不貞行為を行った=親権者として相応しくない」と言う判断にはならず、たとえ不貞行為を行ったとしても子どもへの愛情があり十分養育して行く事が可能と見なされれば、不貞行為を行った側が親権者になる事もあり得ます。
この事から、「浮気されたんだから親権は私に決まっている!」と言う思い込みは捨て「自分は子どもが成人になるまで養育して行く事ができるのか?」についてもう一度考えて見ると良いですね。
ただ、浮気をした事によって子どもの心理状態に悪影響を与えたとすれば、それは裁判できちんと考慮されます。
養育費の相場は?
養育していない側の収入によって毎月の金額は変動しますが、夫の年収500万・妻が無職の場合「子ども1人で月5万円・子ども2人で月8万円」程度が相場になります。
この養育費の中から毎月の食費・衣類・学費・給食費・習い事の支払いをしていくだけではなく、大学入学資金などのための貯蓄もしていく必要があります。
養育費の支払いを拒否されたら?
離婚の話し合いの際、「離婚するなら養育費なんて払わないぞ!」なんて言い出す男性もいますよね?そもそも、養育費とは必ず払わなければならないのでしょうか?
離婚後に親権を取らなかった方でも、子どもの「親」である事に変わりなく、子どもが自立するまでの「扶養義務」が発生します。
扶養義務を果たすため「借金がある」「給料が少なくて養育費なんて払えない」などの如何なる理由があっても、養育費の支払い義務があるんです!
「生活保護を受けている」場合や「病気で長期間働く事ができない」等の正当な理由がない限り養育費の支払いを免除される事はありませんので、相手が養育費の支払いを渋った時は真っ向から反論しましょう!
養育費の支払いは子どもの将来のためにとても重要な事なのですから…!
慰謝料は?
慰謝料とは「相手の不定な行為によって精神的苦痛を受けた」場合、その償いとして請求できるお金です。慰謝料を請求できるのはどのような場合でしょうか?
相手の浮気
- 慰謝料相場:100万~500万円
浮気や不倫は不貞行為になり、被害者側は精神的に相当なダメージを受ける事になるため、慰謝料の請求ができます。
※法律的には「肉体関係」がないと不貞行為として認められないですので、肉体関係があったかどうかの証拠を掴む事が重要になってきます。
DVなどの精神的・身体的暴力
- 慰謝料相場:50万~500万円
夫婦はお互いに尊重し合い、平等であるべきです。相手からの一方的なDVは慰謝料請求対象になります。身体的暴力に加え、以下の様な行為もDVと見なされます。
- 「誰のお陰で生活ができると思っているんだ!」「お前は何にもできないバカ女だ!」などの言葉の暴力。
- 妻を見下し、侮辱される様な精神的苦痛を与えられ続けた。
悪意の遺棄
- 慰謝料相場:50万~300万円
夫婦は精神的にも経済的にも「助け合う」義務があります。悪意の遺棄とはその反対で、「相手が困ると分かっていても助けない」行為の事を指します。
具体例を見て行きましょう。
- 夫が妻に生活費を渡さない
- 働ける状態であるにも関わらず職に就かない
- 共働きであるにも関わらず、家事や育児を手伝わない
- 不倫などが理由で妻子と同居しない
などが挙げられます。夫婦によってさまざまな行為がありますので、「これって悪意の遺棄?」と疑問に思うことがあれば「法テラス」等の弁護士相談所で相談してみましょう。相談は無料でできますよ。
その他の婚姻を継続しがたい重大な理由
- 慰謝料相場:100万~300万円
その他にも慰謝料の請求を認められているケースは…
- 性交渉を拒否し続け、何の改善も見られない
- 同居する家族の問題を解決する努力をしなかった
- 信仰・宗教の勧誘活動で毎晩帰宅が深夜になる
と言ったケースも見られます。慰謝料の相場はあくまで目安となり、実際は相場よりも低く提示されるケースがほとんどです。
慰謝料を少しでも多く請求するためには、
- 2人がラブホテルに出入りしている写真
- 肉体関係を思わせるようなメールや手紙
- DVによって出来た傷の診断書
- 相手の肉声の音源(言葉の暴力に)
- いつから関係が悪化したのか?などの詳細を控える
などの「証拠をしっかり集める事」が重要になってきますよ!
財産分与は?
結婚後の財産は、その名義に関わらず「夫婦の共有財産」としてとらえられ、財産分与の割合は原則的に「2分の1」とされています。
一見、固定収入のない専業主婦の方などは割合が低いと思われがちですが「夫が仕事で頑張った分、妻は家庭を守る事に力を尽くしていた」と考えられるためです。
- 婚姻生活に必要な家財道具
- 不動産(土地や家など)
- 預金
- 車
- 有価証券
などが共有財産として対象になり、結婚前の預金や相続した財産・花嫁道具として家に持ち込んだ家財等については対象外となります。
この他にも、専業主婦が子どもを引き取る・まだ子どもが幼く、フルタイムで働けない・離婚時に病気で働く事ができない・高齢と言った理由から「離婚する事で生活をして行く事が困難」になった場合に支払われる「扶養的財産分与」と言う形もあります。
金額は支払う側の事情によって変わってきますが、一般的には「月数万円を1~3年の間」支払われるケースが多い様です。
この様に、一言で財産分与と言っても種類は様々。財産分与でしっかりと金銭を受け取るには、法律に詳しい専門家・弁護士に相談をしたり依頼をする方が確実です。
さいごに
離婚に伴う数々の行動には、計り知れない程のエネルギーを使います。あなたは、本当に彼と離婚したいですか?
一度は好意を抱いた相手です。愛しい子どもも、彼がいたからこそ産まれて来てくれましたよね。
何が自分と、彼と、そして子どものためになるのか?をもう一度ゆっくり考えて見て下さい。後悔しない様に、きちんと気持ちを整理して下さい。
あなたの決断が、より良い未来へつながる道となります様に!